離れて暮らす妹の「結婚」に贈るインタビュー

『このひより』運営チームの佐々木です。
今回は、妹さんご夫婦の結婚祝いとして、その出会いを残す本を作らせていただいた事例です。
あくまで一つのギフトの形としてお読みいただきながら、「自分だったら、こんな場面で贈りたいな」とイメージを膨らませていただければうれしいなと思っています。

贈り手さま/語り手さまのご紹介

「そんなに会う機会もないし、普段はぜんぜん連絡もしないんですけどね」

そう前置きしながら、インタビューギフトのご相談をくださった、東京在住の篤さん。関西に住んでいて、数年に一度しか会わないかも……という妹・千紘さんへの、結婚祝いにできればと『このひより』にご依頼いただきました。

今回は事前に、贈り手である篤さん、語り手となる千紘さんご夫妻と、オンラインで打ち合わせ。顔合わせも兼ねて、インタビューをいつどこで行うのか、どんな内容をお話しいただくか、などの詳細をご相談しました。「僕はまあ、当日居てもいなくてもいいし。2人の残したい話を自由にしてもらったら」と話す篤さんでしたが、せっかくの機会ということもあり、みんなでそろってインタビューの日を迎えることに。

コロナの状況を見て何度か延期をしたあと、お2人の入籍から1年ほど経ったある冬の午後、お話を伺うために千紘さんのご自宅を訪れました。

インタビュー当日の様子

千紘さんご夫妻が住むのは、大阪市内の繁華街から少し離れたエリアにあるマンション。出迎えてくださった部屋に入ると、大量のレコードやCDが整然と棚に並んでいました

音楽に詳しいわけではない聞き手(このひより・佐々木)にも、2人のこだわりのコレクションであることは明らか。こちらの驚きを予想していたように、千紘さんから「すごい量でしょう(笑)」と声が掛かりました。聞けば多くは、趣味で音楽活動も行う夫・慶一さんの私物らしく、引越しのときは大変だったそう。そして、2人の出会いをつくったのも、まさにこの“音楽”だったといいます。

その後ダイニングの椅子に座り、2人の思い出の曲をいくつも流してもらいながら、改めて出会いからプロポーズまでの出来事をインタビュー。事前の打ち合わせでお願いしていた、エピソードにまつわる写真も見せていただきつつ、互いの視点で結婚までを振り返ってもらいました。

同席の篤さんも、少し離れた場所でくつろぎながら、ときどき会話に参加してくれます。そもそも、千紘さんに音楽の影響を与えたのは兄の篤さんだったとのこと。2人の生活から伺える千紘さんの性格に「昔からそういう感じやったなあ」と返すなど、兄妹のご関係性を伺わせながら、和やかな時間が流れていきました。

できあがった本

今回はお2人に登場いただくこともあり、基本は2人の対話(掛け合い)の形式で、大きなエピソードごとに章を立てて会話を再現。加えて、相手に対する思いや印象の変化を、それぞれの目線でも語るように全体を構成しました。

例えば音楽イベントに出ていた慶一さんの第一印象を綴った、冒頭の千紘さんの章。

 正直に言えば、私は彼がその日DJをやってるとこ、覚えてないんですよ(笑)。ただ帰り道に、めちゃくちゃ丁寧に挨拶をして見送ってる人がいるなと思って。

 エレベーターに向かう通路で、来てはった方全員に声をかけてる人がいたんです。普通、そんなの全員に言わないんですよね。みんな自分の知り合いが出るときに、軽く「ありがとね」ぐらい。

 なのに、彼は「ありがとうございましたっ!」って、大きな声を出して挨拶してて。私はそれがすごく印象に残ってました。礼儀正しくて、「うわ、めちゃくちゃいい人やな」って。

−−“第1章 慶一さんのこと” より一部改変

対話のパートでは、結婚に対してゆっくり構える慶一さんに、千紘さんが「3月中にプロポーズしてほしい」と迫ったエピソードも教えていただきました。改めてみんなで写真で振り返ると、無事にプロポーズを終えてから撮られた時間が、3月31日の「23:44」だと明らかに。

千紘 ギリギリやん! 長かったです、本当に……(笑)。

慶一 期限を切られた最初から、じゃあギリギリに提出しようって決めた気がします(笑)。でも、このとき贈ったごはん茶碗は、僕的には今でも結構いいなと思ってて。

 普通はお茶碗なんてあげないと思うんですけどね。うちは基本的には僕が料理するんで、「末長く一緒にごはんを食べてほしい」って意味を込めました。

千紘 自分で仕切ったプロポーズなんで、されることは前提として「何て言おうかな」くらいしか考えてなかったんですけど。お茶碗は良かったんですよ。ほら、家にあるこの急須と同じ窯元で。

−−“第3章 ギリギリの記憶と、思い出のごはん茶碗” より一部改変

また、本の終わりでは、これまで何となく会話しながらも明確にできていなかった「将来」について交わす言葉も収めさせてもらいました。

関西出身の千紘さんに対して、実は慶一さんは九州出身。そんな2人が今後どこで、どう暮らしたいか……もちろん考え方が変わることがあるにしても、「今」の気持ちを共有し合えたことは大切な時間になったはずです。当日を何度も思い返しながら、その言葉を一つひとつ本の中に落とし込んでいきました。

贈り手さま/語り手さまより

贈り手:篤さん

妹夫婦に先日会って聞いたら、すごく喜んでました。僕も見せてもらいましたが、話したことのかなりの部分が本になっているなと感じました。形に残るのはすごくいいですね。

本の装丁・ボリュームはしっかりしたもので、すばらしいと思います。ありがとうございました。

語り手:千紘さん(篤さんの妹)

インタビューには不慣れでしたが、当日どんな話をすればいいか、事前に項目をまとめてもらっていたのがありがたかったです。連絡も丁寧にしていただけたので、不安はありませんでした。

内容も期待値以上です。できあがるまでは1冊でいい、むしろ1冊しかないことに価値があるかなと思っていましたが、実際手に取ると「保存しておきたい本」「親や親族に貸す用の本」があってもいいなと思いました。表紙の触り心地もとても良い感じです。

贈り手:慶一さん(千紘さんのパートナー)

僕らの話したことが、すごくよくまとまっているなと思いました。もっと短いかと思っていたので、確認原稿を見たときに量に驚きました。

言い回しの調整や内容のまとめ直しはたくさんしていただいてるとのことですが、違和感が全くなく、すごく自然に読めました。ライターの方の言葉で、プロローグ・エピローグを書いてくださっているのも良いなと思いました。

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